「逆行」尾原史和

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内容(「BOOK」データベースより)
「ずっと同じ人が前にいたら楽しくないだろ。だったら逆行すりゃいいだけだよ」。『R25』『TRANSIT』など、デザイン界にインパクトを与え続けている「発明家」尾原史和。その唯一無二のデザイン・ものづくりには、いかなる思想が宿っているのか?「俺が歩みを合わせてきたのは人類史に残る哲学者と芸術家だけ」と言い切る男が、初めて自らの仕事観・人生観を語る。地図だけ持って上京してきた怒涛の半生を、興奮の文体でつづったリアル青春記。

内田樹の本を多数出しているミシマ社は贔屓にしている出版社の一つだ。面白い本を出版しているからというのは当たり前だが、プライスが適正なのが良い。そして装丁が美しい。今回も装丁買いみたいなものだ。帯文も良かったのだが、書店員が書く帯文にはもう飽きてきた。

R25のデザイナーというのが一番わかりやすいだろうか。シンプルかつ愛嬌のある表紙や見やすく、コンパクトな冊子は前の職場の休憩所にいつも最新号が置いてありました。その他にもデザイナーとして様々な仕事をしていますが、一読した印象としては、デザイナーの思考回路というよりかは、アパレルデザイナーという感じでした。男臭い、ROCKっぽい文体もそうだし、嗅覚と直感にもとづく行動力も、デザイナーという肩書きから受ける格好良さではなく、俺、服作ってますから的な格好良さですね。

やりたいことがはっきりしてて、若さゆえの無軌道さも持ち合わせているけど、無茶してもきちんと自分の信念に戻ってくるのが素晴らしい。流されないしぶれない。流されっぱなしの僕とは雲泥の差なんだ。だから当初のバク然とした予定ではあるけれど、25歳でなにものかになる!という目的を達成できるのだ。

一見ロックな文体で読みやすいしさらっと先に進んでいけるんだけど、その根底に流れているのはたぎる情熱だ。情熱があるからリスクを考えずに自らを追い込んでいく。信じれるものは自分自身だということがきっちりわかっている。最終的にどうなるんだろう?と先取りの不安に振り回されがちな僕は、この、自分自身を信用する!しきる!という次元まで今だ到達できていない。「迷い」がただの「停滞」のままなのだ。その事実が腑におちただけでも本書を読んだ価値は十分にあるというものだ。迷うのは当たり前だよね、でもとまっちゃダメじゃん!という架空のメッセージ。

はっきりくっきりと背中を押してもらいたい人たちは是非読んで見て!自分の生き方を重ね合わせながら、様々な思考を入り乱れさせながら。

BGMはこの熱い情熱にあてられてGROOVERS「無敵の日々」をチョイス。無敵の3ピースバンド。走り出したくなってくる!

http://www.youtube.com/watch?v=B-II25Ivjw4&feature=youtube_gdata_player