2012-01-01から1年間の記事一覧

スマイソンに溺れて

前回のグリーンに引き続き、またもやスマイソンのノートを買った。他の選択肢もたくさんあったのだけど、この、ノートとしてはかなり高価な部類に入るスマイソンを買うことで緩んだ気を引き締めたいという思いもあって。しかしモレスキンのカセットテープの…

江夏名枝「海は近い」

海は近い作者: 江夏名枝出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2011/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログを見るこの詩集に感銘を受けてから何度読み直したことだろう。部屋の中、電車での移動中、様々な喫茶店で、沖縄のホテルで…。現代詩手帖の…

眠りつく境界の、観念が混乱しているその素晴らしい地域で。

恐れがあなたをさいなむように、 恐怖はいつも私の輪郭に咲いている。(八柳李花・広瀬鈴「ポンヌフの恋人たち」) 正常と異常の狭間で、過剰な何かが手をこまねいている。過度の欲望をコントロールできずに自滅の道を辿るのか。それとも親密な言葉をもっとた…

朝陽が水平線から光の矢を放ち

アルミニュウムの羽毛を吐きながら真昼の天使は何をはぐらかしているのか (川田絢音「空の時間」) 夜明けが生まれる景色に海で独りで立ち会うこと。悩みや挫かれた心の反芻にも飽きてしまってただ波の動きを見つめているばかりで。本当の意味で心を空っぽに…

聴こえない悲鳴は夏の空を引っ掻いている。

感情のコスチュームを整えたなら、ゆるぎなき絶望のうちにあるものは放っておく。 (江夏名枝「海は近い」) gris ciel。服装なんて決まらないから絶望も叱咤も爆発も引き連れて日々、とらえどころのないほつれに惑わされる。窓話されるなら楽しそうでいいのだ…

I live to fall asleep?

私の生は、今聴いているジャズみたいだと思う。ただし、もっと奥が深い。目眩がするほどぐるぐる回ってどんな秘密の苦しみを私は振り払おうとしているのか。 (アナイス・ニンの日記) 新しい光のほうへ、饒舌に、存在を複写してばらまきながら。「僕のスクー…

詩の練習蝶9「ISDEAD」

【ISDEAD】ピリオドは打つ前にト音記号のレールに滑らせた。肩肘張った男が死の直前に歌う。男のスケールはブローチ程度、何度も針がためらう。ボム!!全ての若き野郎どもよ、水晶の壺を満たした老人の、持て余した人生のフィギュアを砂漠に埋めてやれ。ボ…

Some voices in my mind

言葉以前の地面の底から いろいろな花が咲きますねぇ (北爪満喜「蜂蜜を持って 青空の下」) pw30の当番も終わり一安心しているところに一難がやってくる。愛の不在と有罪そして無罪。激情のコーティングが何層にもわたって木霊する。「お前はたった一人です…

Dice Behind Your Shades

ここ数日のこと。数ヶ月前から賽は投げられている。背水の陣、いや一人だけの決起。何に対して?いや人生に、未来に、物質的に堆積しなかった過去に、歪んだ精神に。捨てたあらゆる思い出に対しての決起。あらためて。賽は投げられた。転がれ、何なら止まる…

ミニマルな闘いの連続でさ。

何かひとつのテーマについて書こうと思えば思うほど何も書けず、ブログの更新が疎かになってしまう。なので、特別に書きたいことが浮かばない時は、小学生の日記のように、一日に起きた出来事を記述するというスタイルをとってみよう。そして更新頻度を増や…

連詩pw30「身投げする音」

身投げする音 声帯から耳管へ 耳管から脳幹へと身投げする音 海へと身投げする音 東京都庁45階から ダブルベッドから 身投げする音 線路へ 高濃度放射線の中へ 草いきれへ 微笑みへ あらゆる断崖から 未知へと飛ぶ音 無音の中へ身を投げる その1音 (身投げ…

連詩に寄せて

Twitter上でいろんな詩人の方々が連詩をやっている。僕も好きで、読んでは感想を書いたりしながら楽しませてもらっていた。特にpw3という、詩人の宮尾節子さんがやっていた連詩が好きで(宮尾さんについての過去記事http://d.hatena.ne.jp/bookshelfind/2012…

小川洋子「ホテル・アイリス」

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 1998/08/01メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 24回この商品を含むブログ (83件) を見る 内容(「BOOK」データベースより) 染みだらけの彼の背中を、私はなめる。腹の皺の間に…

Give me your hand

酒を飲んで酔う。 そうすると自分の心の奥底に押込められている感情がむくむくと目覚めてくる。 なぜか。 アルコールの陶酔によっていろんなことがどうでもよくなるからだ。 どうでもいいってのは実は大事な部分で、いかに日常の中で我慢を強いられているか…

山田玲司「キラークエスチョン」

キラークエスチョン (光文社新書)作者: 山田玲司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/08/18メディア: 新書購入: 8人 クリック: 126回この商品を含むブログ (29件) を見る人の話を聞くのはむずかしい。つい自分がしゃべりたくなってくる。そこをぐっと我慢し…

たかがバッグ、されど。

基本は手ぶらがいい。でも移動中に本を読んだり、PCや手帳を持ち歩くとなれば鞄が必要になる。でも鞄もなるべく小さなものがよくて、そういうのもいくつか持ってはいれど、本が入らないものが多い。手帳・小型キーボード・文庫本1冊。理想の小ささを追えば…

自分のからだを何で作るのか?

酒飲みの自分としては、飲みにいった先で食べた美味しい料理...というかつまみ...をなんとか自宅で作れないものかなぁとよく思う。しかし料理の素養もセンスのかけらもない自分では、その作り方を教えてもらっても、姿から味に至るまで、同じどころか全く別…

詩の練習蝶8「デイジー」

【デイジー】 かつての心が生まれ変わろうとする明日を邪魔しながら花の雷鳴に撃たれて裂けて髪が抜けていく。抜ける前に白くなるのは、生気を水に流されたから。「グッドラックよりショットガンが欲しい」わ、ね?ただ待つだけで全てがあらわになるのかしら…

山本美希「Sunny Sunny Ann!」

前作のサイレント漫画「爆弾にリボン」がとても良かったので、この本が出ると知ったときにはかなり嬉しかった。また一人追いかけたい作家ができた。水色の背景に赤い文字のタイトル。決して美人ではない女性のアップ。表紙のインパクトは大きい。外人にも日…

カクテルをたまにはどうぞ。

横浜にあるお気に入りのBAR「ガーランド フェア バー」。ここは昼間は花屋、夜はBARという変わった形態なのですが、こじんまりとした規模、花と蝶であふれた内装、バーテンのお兄ちゃんの誠実だけど、堅苦しくなく、話しやすいキャラのどれもがツボで、よく…

舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる」@ 札幌大通り公園

SPINNIIIIIING MIND

前回のエントリーで、行きつけの飲み屋のことを少し書いたが、同じお店の常連客【体中に「チャレンジ」という言葉を貼りつけて歩いているような前向き一直線のニューカマー、看護師のCちゃん】が同じようにお店での出会いについてブログを書いていました。ht…

赤い葡萄がつなぐもの

昨日は藤沢の飲み屋で誕生日会だった。集合は夜10:30、終了時刻は未定。この誕生日会は前回の4月に続いて2回目で、元はと言えば、常連客Hが、ねぇねぇ俺の誕生日会やってくれよぉと店にお願いしたのがきっかけ。めんどくさいからいいよと言われ、なら俺が自…

開く・愛でる・書きつける

自分で古本を売っているので、仕入れてきた本の間にいろんなものが挟まっていることが多い。書店や出版社が作った紙の栞・レシート・名刺・メモ・映画や美術館の半券・飛行機の搭乗券・特急の乗車券などが多い。恋人らしき人からのメーセージがはさまってい…

詩の練習蝶7「サークル」

【サークル】 ここにまた 風が吹くから忘れずに 濡れた気持ちを干しに来ること。乾いたら きれいにたたんでのりをして 好きな誰かに使ってもらおう。そしてまた 好きな人から受け取って 干してたたんでまた手渡して。影つけて 踏んで踏まれて重なって 夕日の…

夜になっても遊び続けろ・1

ホームを勢いよく飛び出したら左に折れて、ビル風がビューんと凪ってくるのを軽くかわしてデパートに飛び込む。ガツガツとエスカレーターを人力で2倍速、6Fの本屋にシュッターン!!と着地。頼みのiPhoneを右手に構えて路地から路地へ、通路はあますとこなく…

鈴木志保「ヘブン・・・」

この詩的さは、さざ波のようにゆっくりと心に到達する。もう何度も読んでいれどその印象は全く色褪せない。むしろその時々の状況によっていろんな形に尖った心をフラットにならしてくれる。優しさは単なる言葉上のものではなく、「優しさ」の概念そのものが…

詩の練習蝶6「ティータイム」

【ティータイム】 傘を勢いよく開いたら 不幸が降ってきた。 内側では 四人の男が十字架にぶら下がり 布地の裏側からは 飛び出さない。一方通行の紙ナプキンをわざと 足下に落とす。だって歩けなかったら電車にも乗れないのよ。 擦り傷とか切り傷があちこち…

文学フリマに行ってきました。

もう14回目になるんですね、文学フリマ。なかなか縁がなくてずっと行けなかったけれど、今回は時間もあったのでサクッと行ってきました。Twitterをチェックしつつ行ったので、会場の様子やアイテムの売れ具合などはわかっていれど、自分が買おうとしているも…

「バルビエ×ラブルール展」練馬区立美術館。

練馬区立美術館でやっていた「バルビエ×ラブルール展」を見に行ってきました。場所は西武池袋線の中村橋駅からすぐの場所にあります。後で知ったのですが、本展覧会がフランス文学者である鹿島茂さんのコレクションだったのには驚愕しました。展示していた作…