A DAY IN THE LIFE

半年前、長年住んでいた阿佐ヶ谷を離れてここ藤沢に来た。

仕事も変わった。住む家も、給料も、いきつけの酒場も変わった。

人ごみをかき分けてめいいっぱい働いて、深夜まで遊び、そのまま会社に行く生活が何年も続いていた。タフな毎日。エネルギーの過剰な放出。それはそれで楽しかった。都会暮らしで慣れきってしまった、様々な刺激や情報が、向こうから勝手にやってくる感じ。その刺激を享受している時だけしか人生の充実を感じられなかった日々。

今は真逆の生活だ。ゆったりとして一日が過ぎる。のんびりと店番をして、夜はすぐ帰る。満員電車もない。徒歩で帰宅。時々酒場に行き、時々自転車に乗る。半径5kmの生活。

最近ようやく、そんな何もない日々が好きになってきた。毎日を丁寧に生きること。嫌なことがあっても海を眺めて消してしまう。ベタだけど効果ばつぐん。今朝も仕事前に散歩に出かけた。夏前の、海の街だからこそ、街全体がうずうずしているような空気感の中で。鼻歌を歌いながら、一冊の詩集を持って。今日という日の入り口で。


ends - Sharara (PV)