「六つの星星」川上未映子
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文学界のミューズ(と僕が勝手に思っている)川上未映子の対談集は読む前の予想をはるかに超えてすこぶる刺激的。図書館で借りたのだけど、手元に置いて何度も読み返すべき本なのであらためて買いました。
対談者は、斎藤環・福岡伸一・松浦理英子・穂村弘・多和田葉子・永井均の6人。斎藤環こそ40pを割いているが、他の人との対談は20〜30p前後と、そのバランスもいい。永井均においては2つの対談が収められており、うち1つはニーチェを中心とする哲学的な対話、もう1つは川上未映子のヒット小説「ヘヴン」をめぐっての対話。
川上未映子を知ったのはその音楽活動からだった。ネットサーフィンしててたまたま見つけたアルバムの特設サイトが妙に気になってAmazonをクリック、ジャケ買いですらない気配買いみたいな感じの出会い。
全7曲のコンパクトなアルバムだが、そのインパクトは強烈で、もう何万曲の歌を聴いてきたはずなのにまだこんなにドキドキする歌があったんだ!!という驚き。歌詞も曲調も独特で、一聴する限りでは女性のシンガーソングライターありがちな、適度にPOP、適度にちゃちい感じ(表現が拙くてごめんなさい)なんだけど、集中して聴くと全く違う景色が見えてくる。とにかく「生きる」という語句がよく出てくる作品世界はいびつで救いようが無いし、これはあとあとわかったのだけど坂本弘道のチェロがとにかく変わってる。だけど、そのいびつなモノ同士が切実さを伴って互いに結びついた先に見えた景色は希望なんだ。
傷つきたがる感受性全部
キーで打って高値で売れたらね
そのお金持って2年間ほおった髪を切りにでかけたいけど
人に会うのが怖い
例えばこんな歌詞が美しいピアノとともに歌われる。でもね基本は生きることについての歌なんだ。切実だけどお涙頂戴にはならない、まさしく音楽だからこそ表現できる世界。
ダメだ、このまま音楽について語りたくなってしまった。そしてサイゼリヤのデキャンタが3本空いたから酔いも激しく、読みながらとったメモの意味が自分でわからないから本の感想どころではなくなってしまった。反則だけどAmazonレビューに丸投げだ。許して下さい。
ワンダーとシンパシー。つまり、驚嘆と共感の配剤。物事を見るときの一尺度としての。穂村弘との対談のあたまにあった記述がグラグラと僕の身体を揺さぶる。