【本】小説・エッセイ

江夏名枝「海は近い」

海は近い作者: 江夏名枝出版社/メーカー: 思潮社発売日: 2011/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログを見るこの詩集に感銘を受けてから何度読み直したことだろう。部屋の中、電車での移動中、様々な喫茶店で、沖縄のホテルで…。現代詩手帖の…

小川洋子「ホテル・アイリス」

ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 1998/08/01メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 24回この商品を含むブログ (83件) を見る 内容(「BOOK」データベースより) 染みだらけの彼の背中を、私はなめる。腹の皺の間に…

山田玲司「キラークエスチョン」

キラークエスチョン (光文社新書)作者: 山田玲司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/08/18メディア: 新書購入: 8人 クリック: 126回この商品を含むブログ (29件) を見る人の話を聞くのはむずかしい。つい自分がしゃべりたくなってくる。そこをぐっと我慢し…

宮尾節子「恋文病」

ずっと感想を書こうと思っていたけど、うまくまとめられなかった。でもようやく重い腰をあげる。拙い言葉でも伝える事が大事よねと自分に言い聞かせながら。まずタイトルがいい。「恋文病」。これで欲しい気持ちに95%の灯りがともった。「恋の病」も「愛の…

藤谷治「我が異邦」

この作家の名前は知っていたけど今まで読んだことはなかった。しかし、たまたまツイッターで知った角田光代の書評が素晴らしかったので 読んでみた。帯には、自らをさらけ出して書いた新境地作品集とある。さーて、どこまでさらしてるのかなぁ、などと余裕ぶ…

「僕は本をつくりたい。」荒木スミシ

小説を書く、そして自分で出版する。この魅力的な、だけど世の小説家志望のほとんどができないことをやってしまった男。その作品や名前は知っていた。もちろん店頭でも見たことがある。ペーパーバックのカジュアルな造本は「いい感じ」だったが、小説の内容…

「現代詩手帖2011年12月号」

ここ数日暇さえあれば、現代詩手帖12月号を読んでいる。普段なら文芸誌の類いを精読することってほぼないのだけど、今回の現代詩年鑑2012にはがっつりとはまっている。読めば読むほど詩が身近に感じられるし、新しい詩人を探すためのよいナビゲーター…

「鹿島茂の書評大全 洋物篇」鹿島茂

読んでない本がくさるほど家にあるのに、なぜまた新しい本を開きたくなるのだろう?ただ所有欲を満たすだけばら他のアイテムでもいいだろうに。しかし本は本以外の代替がきかないのだ。ある本が気に入らなかった、買ったはいいけど今は気分じゃなかった、だ…

「パリ季期」猫沢エミ

図書館のいいところはお金がかからないということ。だから少しだけ興味はあるんだけど、お金出して失敗したら嫌だな、と思う本を借りるようにしている。今日借りたのは3冊+CD4枚。そして借りた本は見事に、というか予想以上に良く、フランス案内でわくわく…

「ガールフレンド」しまおまほ

アイドル・かたづけ・結婚・恋の空気・夏のお葬式・付き合う・家事・三十歳・クリーニング屋さんの閉店・・・本書「ガールフレンド」、そのタイトルはいたってシンプルだ。おっ?元オリーブ少女なのにあまりキラキラしたトピックがないじゃないの。内容もそ…

「叡智の断片」池澤夏樹

何が必要だ?と問われれば、愛が必要だと答えるだろう。甘く囁く低音の、密度の、漆黒の中交わされる愛。いや、お金かもしれないし自由かもしれない。あとは美味いシャンパンか。否。やはり言葉ではないか。感激に震えるような、ついくすっと微笑んでしまう…

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」

貧乏は苦しい。僕も金のない家に生まれたのでその苦しみはよくわかる。他の人と同じものを持ってないだけで感じる負い目や引け目。子供心にきつかったことを今でも思い出すことができる。クーラーなどない家。狭すぎるボロアパートにはまともな寝床などなく…

「親愛なるキティーたちへ」小林エリカ

この気候だと、熱にうかされたようにぽーっとなってしまい、衝動的に旅に出たくなってしまう。見知らぬ場所、人、ルール。そんなアウェイ感満載の状態で夜の街を徘徊、適当な飲み屋にしけこんで一人で居心地の悪い思いをしながら悪酔いし這々の体で安ホテル…

「男の教養」福田和也・石丸元章

にほんブログ村応援してくれると嬉しいです!まあハレンチな対談集だこと。だけど中毒性バツグンで何度読み直しても面白いから不思議。時事問題からブライドの話になったと思えば、山崎拓に変態の真髄を学べ!と突き落とす。自由闊達縦横無尽。トンカツを喰…

「ディスコ探偵水曜日」舞城王太郎

にほんブログ村ランキング参加中ですさて、アルコールの注入もバッチリだからして、吐き出すだけのため息も過去に追いやってもいいいかもね。今日買ったのが舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」新潮文庫。舞城王太郎の著作は偏愛してるので、いろいろなイシュ…

「フルカワヒデオスピークス」古川日出男

にほんブログ村ランキング参加中です 「頭が横にズレるみたいなショック」とは本書の中で古川が発した言葉だけど、まさしくこの本を読んだ自分がそう思ったよ。ピシッと亀裂が入った瞬間そのままズズッと頭がスライドしてさ。本人気づいてない、みたいな。何…

「ゴッドスター」古川日出男

にほんブログ村ランキング参加中です 古川日出男の小説は音楽のようだと言われることが多い。僕もそう思う。独特の文体は「、」「。」「改行」の枠組みを駆使して作り上げた工芸品のようだ。今回は「、」がない。「改行」と「。」時々「?」。大粒の雨粒みた…

「心コレクション」植島啓司

にほんブログ村ランキング参加中です偶然のチカラ 生きるチカラ 「偶然のチカラ」「生きるチカラ」のヒットが記憶に新しい植島啓司の新作。100の、心に関する言葉を集めた本書はまず装丁がカッコいい。プレゼントに最適という意見もうなずける出来ばえで、カ…

「ノン+フィクション」古川日出男

にほんブログ村ランキング参加中です 古川日出男のあくまでも我が道を行く姿勢がよくわかる一冊。エッセイ、ルポ、戯曲、旅行記、取材メモなどが収められている。古川本人があとがきで記しているように、本書は死蔵の原稿の寄せ集め、などではなく、記念すべ…

「名前のない女たち 最終章」中村淳彦

にほんブログ村ランキング参加中です 中村淳彦。この人はどうしてこんなことを続けてるんだろう。このシリーズを続けて読むたびにそう思う。企画系AV女優のドキュメント。その生々しさは半端ない。親からの虐待、レイプ、あまりに理不尽な幼少期。体しか求め…

「観光」ラッタウット・ラープチャルーンサップ

にほんブログ村ランキング参加中です発売当時相当話題になって、どうしようか迷ったあげくに、タイの作家だということで敬遠した一冊。なぜか昔からアジア圏の作家には興味がわかない。でも残雪の「突囲表演」みたいな凄い作品にも過去出会ったことだしと、…

「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」村上春樹

にほんブログ村ランキング参加中です何時の間にか村上春樹の新刊発売予告が出ていました。1Q84を面白く読んだので、是非ともこのインタビュー集は購入せねばと思います。どちらかといえば、今までは、村上春樹のことはそんなに好きではありませんでした。…

「世界クッキー」川上未映子

にほんブログ村ランキング参加中です!ちょっと変わった娘さんだこと。そんな台詞がポロリと口をついて出る。桜を愛しすぎて、見たり、愛でたりできない彼女は、酔った勢いで夜桜の咲く道を歩き、その美しさゆえに食べてしまったそうだ。その文章がこちら。…

「六つの星星」川上未映子

にほんブログ村ランキング参加中です! 文学界のミューズ(と僕が勝手に思っている)川上未映子の対談集は読む前の予想をはるかに超えてすこぶる刺激的。図書館で借りたのだけど、手元に置いて何度も読み返すべき本なのであらためて買いました。対談者は、斎藤…

「自分をいかして生きる」西村佳哲

にほんブログ村ランキング参加中です!<仕事>は<人生>と、<働き方>は<生き方>と背中合わせで、他の誰にも肩代わりできない一人ひとりの<生>に直結している。仕事と真摯に向き合う人々の支持を受けて読みつがれる、「自分の仕事をつくる」の6年越…

ミラノ、朝のバールで

にほんブログ村ランキング参加中です!異国の地、旅、ここではないどこか、世界の車窓から。そう、まだみた事のない風景を見る事は、それが例え映像であっても楽しく、心踊ることだ。パパに会うために自転車で南米大陸50000kmを旅する映画「ラテンアメ…

人とつながる表現教室

ふだん、言葉をつくして心から伝えようと努力しても、なかなか伝わらないし理解してもらえない。気持ちのはいってない単なる正論にならないように細心の注意をしながら、なんとか、相手にわかってもらおうとしても、その努力はむくわれず徒労に終わってしま…

フランスのブランド美学

普段図書館に行くことはめったにないけれど、月々の書籍代があまりにも嵩んできたため、今月、来月と本屋に行くのもAmazonも我慢して、図書館で本を借りている。本当は不本意なんだけどしょうがない。生きるには金がかかる、真っ先に削られるのは娯楽の部分…

柳美里不幸全記録

なぜ自らのヌードを表紙なんかにしたのだろう?なんて露出趣味なんだ!と思えど、この800ページの書物が日記だということを考えれば、すべてをさらけ出すという意味においては合っている。控えめ、節度などを柳美里の本に求めることがおかしいのは100…

自由をつくる 自在に生きる

自由。これほど人を惹きつけてやまない言葉はないだろう。僕だってそうだ、もう四十になろうかというのに、未だに、全てを投げ打って自由になりたいと思う瞬間が多々ある。森博嗣の名前は知っていた。ミステリー小説を多数出していることも、それが売れてい…