「花のノートルダム」ジャン・ジュネ

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バタイユコクトーときて、とうとうジャン・ジュネを訳した中条省平。今からそわそわしてしょうがないのです。10月13日発売。

古典新訳文庫に関しては、装丁が気に食わないと過去に書いたことがあったけど、完全に撤回します。今では書店の文庫コーナーで前に立つ回数も凄く増えました。発売日に買わなくとも、後あと読みたくなって買い求める本も多いです。以前は河出文庫がその役割を担ってたのですが、今は半々くらいかな。装丁の統一感も、見慣れてくると愛着に変わってきました。ただ、表紙の色やタイトルなどは思い出すことができるけど、あの絵だけは、どの本にどんな絵が書いてあったか、いつまでたってもわからない、というか記憶できない。シンプルな絵なのにね。

ということでジャン・ジュネ新潮文庫の「泥棒日記」を昔に背伸びして読んだけど、何回チャレンジしても50Pもいかない。ヘンリーミラーの「北回帰線」もずっとそうだったんだけど、こちらは新潮文庫の文字が大きくなってから読み通せた。でも「泥棒日記」は文字が大きくなってもダメだった。

河出文庫から出ている澁澤龍彦の二冊も勿論買ったが、こちらも読み通せていない。そして鈴木創士の「花のノートルダム」も、いいところまでは進むんだけど、やはり通読できていない。

ジュネの世界を堪能する資格がないのか自分?と思うが、どうしてもこの作家の良さを味わいたいのだ。超絶技巧の比喩に打ちのめされてみたいのだ。

だから中条省平が訳したと知った時は狂気乱舞した。バタイユコクトーともに、今までの翻訳でも好きな作家だったが、中条の翻訳で読んだら好きが倍増した。二冊とも凄い小説だった。翻訳上の具体的な違いなどはわからないけれど、情景がイメージし易いのは確かだ。心理描写と情景描写のバランスが良いというか・・・いや、わからない。

だからジュネに関しては待ちわびていたのだ。堀江敏幸でもいいかなぁと漠然とは思っていたけれど。エルヴェギベールの「赤い帽子の女」とか相当良かったし。でも中条という僕にとっては最上の訳者がやってくれた。

また祝杯をあげねばならないな。


ー光文社ホームページよりー

『花のノートルダム
ジュネ 中条省平・訳 

泥棒で同性愛者だった青年ジュネは、獄中で書いたこの処女作で20世紀最大の〈怪物〉作家となった。自由奔放な創作方法、超絶技巧の比喩を駆使して都市の最底辺をさまよう犯罪者や同性愛者を徹底的に描写し、卑劣を崇高に、悪を聖性に変えた、文学史上最も過激な小説。

ジャン・ジュネ Jean Genet

[1910- 1986]フランスの作家、詩人。1920年パリに生まれる。未婚の母親はガブリエル・ジュネ、父親は不詳。生後数カ月で母親に捨てられ里親のもとで育つ。10歳のころから始まった盗癖で何度も施設に入れられ、脱走と逮捕を繰り返す。18歳で軍隊に入るが25歳で脱走、ヨーロッパを放浪する。37年、パリに戻るが、またも窃盗そして逮捕を繰り返す。42年、刑務所内で『花のノートルダム』を書き始め、43年に出会ったジャン・コクトーがその才能に驚き、翌44年、同作が文芸誌に掲載されデビュー。その他の作品に『薔薇の奇蹟』『ブレストの乱暴者』『葬儀』『泥棒日記』がある。