「ナガオカケンメイの考え」ナガオカケンメイ

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「行き詰るということはとてもふつうなこと」

本書の中にでてきたフレーズだけど、そうだよね、そうなんだよねと心の中で呟いた。

仕事において、通常行き詰まることってあまり歓迎されないことのような気がしていた。行き詰まる前に答えが出る、問題が解決されるのが当たり前のような感じ。行き詰まって苦悩している状態は、その時間のロスも含めてマイナスの印象しか与えない、というか。少なくとも僕が働いた、働いている職場はこんな感じだろうか。

だから冒頭の言葉には、大げさにいうと救われたのだ。行き詰まるのはふつうなことだから、落ち込んでもしょうがないじゃん。そんな言葉を上司からかけられたら、よし、この壁を超えて何とか良いものをひねり出してやろう!なんて気にもなるだろう。

本のデザインに惹かれて単行本で購入し、あまりにも示唆的な言葉が書かれていてページの端を折りまくった本だったので文庫本でも購入し、仕事で行き詰まりそうになると読み返す。現状を抜け出すきっかけになる言葉がどこかに必ずあるから、読んで感銘を受けて終わり、という類いの本ではなく、僕にとっては使えるツールの一つだ。

Webの日記をまとめたものなので、一つのトピックは2、3ページ。ちょっとした空き時間にも読むことができる。デザイナーとして、そしてD&DEPARTMENTというショップのオーナーとして、日々考えたことが書かれている。店舗の現場で起きていることや、履歴書の写真が真剣な目つきをしているか、勤務5日で辞めていった熱血漢の男性が辞める時の「普通のサラリーマン仕事がいい」という言葉に対する怒り、そしてデザインとは?仕事とは?人生とは?なんていう大きなトピックまで、「静かに燃えている」とでも言えそうな文体で綴っている。

本書を読んでいると、外付けのハードディスクをつけたみたいに、頭の容量が増えたような気さえしてきて、まだ形になってない問題解決法や、アイデアの断片が、広い脳内で自由に泳ぎ回り、飛び出す瞬間を今かと待っている絵面が浮かぶのです。

このエントリーを書いている最中、偶然にも、依頼されていた冬のキャンペーンのアイデアが一つ、ポコっと顔を出しました。ラッキー。


BGMは、前向きに悩んで行くことで壁を突破するというキーワードで、新しい景色を見たい時によく聴くTOKYO No.1 SOUL SETのこの曲を。
TOKYO NO.1 SOUL SET Just another day 〜その時まで〜