「潜入ルポ アマゾン・ドット・コム」横田増生

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単行本がでた時に話題だったと思いますが、僕は今回の文庫化で初めて読みました。Amazonで本も買い、マーケットプレイスもやっている僕には、とても興味深い本でしたね。Amazonに潜入して実際にピッキング部隊として働く第一部は、よくできたエンタメ小説みたいにするすると読めましたし面白かったです。

僕が前にいた会社も物流倉庫があり、僕自身は社員でしたが、そこでピッキングのアルバイト君たちと仕事をしていました。読んでいてその時の雰囲気が蘇ってきましたね。しかも大企業のAmazon、さすが徹底してんなーと勉強になりました。

しかし1分間に3冊のピッキングはキツイと思う。自分のペースでなく、あきらかに急いでピッキングしないと追いつかない。著者自身も、不慣れな最初はこんなの無理だと言ってますしね。その単調さや変化のなさを、中立の立場でなく、弱者側から感情だしまくりで糾弾しています。まあその気持ちもわからないではないけれど、人とコミニュケーションとるのが苦手だからと、何年もやってくれるバイトもいるはず。事実僕の仕事場では10年選手とかいましたしね。だから一概にダメだとは言い切れない気がします。著者の驕りが少し見えますね。

マーケットプレイスの価格がプログラムによって1円に下がってしまうからくりなんかは、そんなに驚くことでもないような気がするけど、かなり大げさに書いてますね。そう、エンタメ小説のように面白く読めるんだけど、ちょっと大げさに書きすぎなんだよなぁ。

とはいえ、物流倉庫で働いたことのない方から見れば、こうやって俺ん家に荷物が届いてくるのかー!と新鮮に映るでしょう。便利なシステムの裏では頑張ってる裏方さんがいるのですね。

第二部は、ブックオフAmazonの関係について、そして著者自らもマーケットプレイスに参加しての感想、さらに電子書籍についてのあれこれと出版業界の関わり、などについて書かれています。特筆すべき考察があるわけではないんだけど、なんだか面白くって、ページをめくる手が止まりませんでした。文章がうまいのかな?

驚きの連続!というわけではないのに、僕にとってはかなり面白く読めたという不思議な本です。登場人物の造形がうまいのかな?それとも他の理由かな?覗き見主義的なもんだろうか?

Amazonの単行本のレヴューはかなり数が多いので、その辺をチェックの上、もし買うなら文庫がお得です。

AmazonのルポをAmazonにリンクはって紹介し、お金を貰う。何だか罪悪感があるなぁ、今回に関しては。何だかごめんなさい。