ならず者の軌跡


煙草の灰を撒き散らし、あおるビールの空瓶がソファーの下に転がる。もっと強い酒をもってこい!と怒鳴りながら股間のひとつもボリボリかきつつ観るのがこの映画に対するマナーってもんだろう。

ドキュメンタリー映画GONZO」に出てくるハンター・S・トンプソンは酒を飲みドラッグをやり気晴らしに銃をぶっ放しながらもひたすらタイプライターをたたく。その文章は臨場感たっぷりのワイルドさで型式にずっぽりとハマってしまった僕らの頭を揺さぶり続けるのだ。アメリカの荒くれ者集団ヘルズ・エンジェルズに一年同行して書き上げたデビュー作で話題をさらってからも、玉石混合数々の文章書きまくりその名を轟かせたトンプソン。最後は拳銃で自殺。この映画のナレーションはジョニー・デップがつとめている。日本では唯一、石丸元章だけが同じスタイルで文章を書いている。

砂漠の端っこのバーストウあたりで、クスリが効いてきた。なんか「ちょっと頭がふらついてきた。運転かわってくんない・・・」とか言ったっけ。そこでいきなり、まわりじゅうにすげー轟音がして、空はでっかいコウモリみたいなのだらけになって、それがびゅんびゅんキイキイ車のまわりを急降下してまわってて、その車はトップを開けてオープンカーにしてラスベガス目指して時速200キロほどで飛ばしてた。そしてなんか声がわめきちらしてる。「おっとぁぁぁっ!このくそケダモノどもぁなんなんだ!」

「ラスベガス★71(訳:山形浩生)」の冒頭からしてイかれてる、というかもうラリってる。文字通り型破りなスタイルのノンフィクションだが、こちらは映画「ラスベガスをやっつけろ!」の邦題で上映された。テリーギリアムの破天荒な映像と主役のジョニー・デップ、相棒のベニチオ・デル・トロの突き抜けた演技が最高の一作だ。

で映画「GONZO」だけど、初めて動くトンプソンを見てミーハー魂がうずく。ハゲてるね、背高いね、ティアドロップのサングラスがいいね、でも全体的な服装は今見るとダサいね、なんて思う。ジョニデのナレーション、関係者の短めのインタビュー、映画「ラスベガスをやっつけろ」からの映像の引用、そしてトンプソン自身の映像。これらがテンポ良くミックスされ、全く退屈しない。てめぇ嘘書くな!とヘルズ・エンジェルズのボスとTV番組の中で対峙した時のトンプソンの情けない表情も含め、最高の映画だった。完全にラリってふらつきながら、テープレコーダを背負ったトンプソンと相棒がハンバーガーショップのドライブスルーで「天国を探してるんだ、天国はどこにあるんだい?俺たちは今からそこに行くのさ!(台詞はうろ覚え)」と店員に詰め寄り、近くの精神病院を案内されるシーンなんか爆笑もんだ。中立なんてあったもんじゃない、主観タップリのライティングスタイルはもうそれだけでエンターテイメントだ!


GONZO」予告編
http://www.youtube.com/watch?v=rkv438N8m-E&feature=youtube_gdata_player

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