見城徹・藤田晋「人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない」


幻冬舎社長である見城徹サイバーエージェント代表の藤田晋の共著第2弾。前作に引き続き、極端でパワフルな名言(迷言?自慢話?)のオンパレード。僕は他人の自慢話が好きな方なので・・・もちろん言い方によってですが・・・本書も楽しく読みました。

この本の良いところは、二人の語り口が全く違うこと。見城徹が「動」だとすれば藤田晋は「静」であり、同じ内容を語っていてもその伝わり方は違う。極端な話、上司にお咎めを受け凹んでいる時に別の上司が、お前さぁ、さっき〜さんが言ってたことは、実はこういうことで、決して、ただお前に説教しただけじゃないんだよ・・・などとすぐさま解説が入るようなものだ。

見城徹が扇情的な、ギリギリ歯を食いしばってナニクソ!!と動いてるイメージに対して、藤田晋はもっと穏やかに、黙々と作業しているような雰囲気が文章から伝わってくる。

それがサウナと水風呂のようで心地いいのは確か。熱いメッセージの後にクールダウンの解説と補足が入る。見城が「〜だ」「〜べきだ」と断定的な口調であるのに対し、藤田の「〜です」「〜ではないでしょうか」とソフトな物言いなのが、二人の関係性を顕著に表している。

幻冬社が設立された時、僕は本屋でバイトしていて、その初回のラインナップに驚嘆した覚えがある。確かほとんど買ったんじゃなかったかな。あれから何年も経ったけど、こうやって第一線でやっているのは単純に凄いと思います。飛び道具をたくさん使い、どちらかといえば仕掛屋、トリックスター的な出版社だと思いますが、そのいかがわしさは文芸の世界に必要だとも思います。まあこれからもガンガン突き進んでほしいところです。

構成もシンプルでわかりやすい。まず、「縛りがあるから面白い」というようなタイトル。その左ページに3行程の解説。そして次の2ページで見城徹が、その意味を自分の行動に即して開陳。最後にその内容を受けて藤田晋が2ページを使って解説するという、ワントピック6ページ。

仕事においての有用な方法論を知りたいむきにはあまり役に立たないかもしれませんね。逆に熱いメッセージを浴びて自分のモチベーションを上げたいぜ!という方には効果のある本だと思います。ただ、部下をもっていて、コーチング的にも使いたいというのは難しいかも。藤田晋のパートからは少し拾えるところもありますが。

最後に僕がいいなと思った箇所を引用しておきます。でもこうやって書き抜いて並べると、意外と陳腐な言葉に映ってしまうんですよね、不思議だけど。

★確実に勝利をつかむには、「これしかない」というところまで自分を追い込み、考え抜かなければならない。

★自分の頭脳を追い込む環境を作れていなければ、せっかくの能力をうまく引き出せないかもしれません。

★仕事でも人生でも、勇気を持って一日一つ何かを壊すことは、着実な前進である。どんな小さなことでもいい、新しいことをしてみる。

★縛りは、人から底知れぬエネルギーを引き出す力をひめている。

★異物を飲み込めた時、想像を絶する結果が待っている。

★ダイヤの原石かどうか見極めることに手を抜いてはいけません。

★現実は、必ず主観に勝る。  

★ビジネスもダイエットと同じ。セーフティーゾーンなど、ありません。

★あえて自分で黒星を作れるかどうかが、その人の器量につながるのだ。

★とにかく、何かにはまってみるべきだ。ハマることは、本気になることだ。否応なく、心と体がそちらに向いてしまうことである。

★一喜一憂とは、強い精神力を持ちながら、細やかに感受性を働かせることなのだと思います。

★いい企画のヒントは、現実の中にさりげない姿で潜んでいるものだと思います。

★すべての新しいもの、美しいもの、素晴らしいものは、たった一人の孤独な熱狂から始まる。

★熱狂は退屈も苦痛も、はねのけてくれる。

うねりの塊みたいな本書ですが、日常に亀裂を入れるためにはこのぐらいの過激さが必要なのかもしれませんね。

表紙もインパクトあります。

ベストセラーになった第一弾。

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