「バルビエ×ラブルール展」練馬区立美術館。


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練馬区立美術館でやっていた「バルビエ×ラブルール展」を見に行ってきました。場所は西武池袋線中村橋駅からすぐの場所にあります。

後で知ったのですが、本展覧会がフランス文学者である鹿島茂さんのコレクションだったのには驚愕しました。展示していた作品が膨大な数あったからです。いま図録の索引から数えたらバルビエだけで約300枚あります。本の挿絵が多いので一枚一枚の大きさは小さいのですが、それでもこの分量を所有しているとは驚きです。

ーバルビエ(チラシより)ー

・バルビエは、当時の代表的なモード雑誌の挿絵や多くの豪華挿絵本のみならず、映画や舞台の衣装デザインまでも手がけ、その活躍は挿絵画家の領域を飛び越えたものでした。最新のモードを纏った生き生きとした女性たちが印象的な「ガゼット・デュ・ボン・トンー芸術、モード、および流行」(1912ー25)、バレエ・リュス(ロシア・バレエ)のパリ公演から受けた衝撃そのままに制作された「ヴァーツラフ・ニジンスキーのダンスを描いたジョルジュ・バルビエのデッサン」(1913)やギリシア趣味が結集した最高傑作とも言える「ビリチスの歌」(1922)など、しなやかな肢体表現と大胆な構図と躍動感、そして美しい色彩、バルビエの作品は現在もなお多くのファンを惹きつけています。


やはり挿絵なので、本のページが直接展示されています。白い紙に黒いインク、その両極の中に、色鮮やかなバルビエの絵が描いてある。それだけでもう満足です。絵によってはオリエンタルだったり、あるいは日本画のような色彩だったり、とにかく飽きさせない。

個人的には同系色の使い方に目を見張るものがありました。通常であれば、なんでこんなくすんだ感じの茶なんだよ、などと思うのに、そんな地味な茶を大画面の背景においても、バルビエにおいてはそのダメな茶色に金粉でも入ってるんじゃないかと思うほど美しい。

決してパステルではない、ただの淡い色(存在感が薄いという意味で)でも、その上に人物を配置するだけで、劇的に美しい世界が立ち上がってくるのです。

「架空伝記集」の完璧な構図。ラクロ「危険な関係」のゴージャス感。ミュッセ「戯れに恋はすまじ」におけるピンク色のチャーミングさ。そのどれもが、色合いの豊かさと同じ数だけの感覚を呼び起こす。

躍動感あふれるニジンスキー。「ベトルーシュカ」の白黒ピンクと天蓋のうねりとの対比。シチュエーションも魅力的な「ハートを狙って、美しい御婦人がた!」。目隠しした紳士と踊る4人の女性、そのスラリとした膝下と市松模様の床とのバランスに息をのむ「恋は盲目」。などなど素晴らしい作品を数えたらきりがない。実際声には出していないが「うわーすごい、あらららきれいだなー!!」なんてずっと心の中でつぶやいていました。

そしてラブルール。この人のことは知らなかったです。バルビエとはうってかわっての白黒。その独特の版画は、モチーフに影をつけることによって光が浮かび上がる印象。丁寧な線描に少しチープさも感じるが、それがそのまま軽い印象に転化されていてこれはこれで素晴らしい。

ーラブルール(チラシより)ー

・ラブルールは、バルビエのような色彩豊かな画面とは異なり、シャープな線描によって構成された多くの版画作品を制作しました。当初、木版画を学んでいましたが、1916年頃から銅板画の技法を取得しました。これによって1913年頃から見られるキュビズム的作風が生かされた、よりシャープな表現が可能となりました。1920年代にはいると、「百貨店風景」(1921)のようなモダンな都市風景の描写や、「ドリアン・グレイの肖像」(1928)など多くの文学作品の挿絵を手がけます。モダン都市の情景をスピーディーかつハイファッショナブルなタッチで捉え、人気を博した版画家であり、挿絵画家でした。


鹿島茂も図録に書いているとおり、ラブルールの最高傑作と言われているP=J・トゥーレの「コントリウム(反脚韻詩集)」がかっこいい。大胆な線描のモダンさ、ポップな感じとそのオシャレさも含め、モノクロのリキテンシュタインとでも呼びたいほどだ。こちらも堪能させてもらった。

個人的にはバルビエの色彩のおかげで、忘れられない展示となりました。大好きな本、その挿絵ということも理由でしょうね。当時の人々が羨ましいです。

観覧料も500円と安く、会場で図録を購入するとポスターをくれるのでこちらもオススメです。


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