「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」村上春樹

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何時の間にか村上春樹の新刊発売予告が出ていました。1Q84を面白く読んだので、是非ともこのインタビュー集は購入せねばと思います。

どちらかといえば、今までは、村上春樹のことはそんなに好きではありませんでした。同じ村上ということで、村上龍とよく比較されていましたが、僕は断然村上龍が好きでした。「コインロッカーベイビーズ」と「愛と幻想のファシズム」でノックアウトされてからは、村上龍の本はエッセイや小説以外の本まで買い集めていました。そして主要な長編は年に数回づつは読んでいました。本好きの友人達には村上龍を読め!!と激しく喚きたて、小説内に散りばめられたアフォリズムの数々を引用しては、それをそのまま自分の信条として心に秘めたり、女の子を口説く時に使ったり(成功?性交?したかどうかはさておいて)とにかく自分の血肉として、村上龍の小説は機能していたと思います。

たとえ一時期でもそこまで熱く夢中になっていた小説家は彼が断トツでした。他に思い浮かぶのはスティーエリクソン・ウィリアムTヴォルマン・イヴシモン・石丸元章(彼はノンフィクションだけどまあそりゃーもう!!最高にイカシテいるのです!!「deeps」の中の個室ビデオの話なんて読むたびに大声上げてゲラゲラ笑ってしまうしね)も似たように夢中になりましたが、やはり村上龍にはかないませんでした。

関係ないけどウィリアムTヴォルマンの小説はもう出ないのかな。奇しくもハンターSトンプソン「ヘルズエンジェルズ」が発売されたので同じヘルズエンジェルズを題材にとったヴォルマンの小説も翻訳されてもいいと思うのだ。訳者はもちろん山形浩生・渡辺佐知江・浜野アキオの誰かで!!国書刊行会さん是非ともお願いします。

ちなみにハンターSトンプソン「ヘルズエンジェルズ」は我が兄貴、石丸元章も翻訳したとTwitterで言っていた。秋には出そうなので、つい急いで買ってしまった飯田隆昭訳のほうはまだ読んでない(本当はすごく読みたいのだ!!)。やはり日本のゴンゾージャーナリスト石丸元章が訳したものこそ先に読まなければならない、それが礼儀でありルールなのだ。

そして月日は経ち、村上龍の小説もそんなに読まなくなった。コインロッカーベイビーズを再読してもあまり興奮しないのは小説が古びたからではなく自分が歳をとって古ぼけてきたせいだろう。そして愛読している内田樹の本やブログには時々村上春樹の話が出てくるのだが、それに触発されてようやく思い腰が上がった。「スプートニクの恋人」をリアルタイムで買ったのが最後だったけど、1Q84のお祭り騒ぎに参加してみたのだ。

それまでの村上春樹の印象は、ストーリーは面白いしグイグイ引っ張られる、これからどうなっていくんだろう?という謎もある、けど鼻に着くというものだった。人間が描けてない・登場人物がクール・うろたえない・とり乱さない・人間の迫力が描けてない・サンドイッチばっか食ってんじゃねえ!!なんていう風にアンチ村上春樹の連中は言ってた気がするし、僕も似たような感想を持っていた、けどスプートニクまでは追いかけていた。

1Q84の主人公は「青豆」と「淳吾」。出た、何ですかこの青豆という名前は。例えば転んで血を流しても、青豆が転んだ→青い豆が転がった→青豆さんという女性じゃなく豆しばのイラストが目に浮かんでしまう。この時点で何か一枚フィルターがかかってしまう。淳吾という名前からはどうしても小説家の青木淳吾を思い出してしまい、新潮文庫の本人写真がちらちらと頭をかすめて(その写真の表情が少しすっとぼけた感じで、コミカルなのです)本文のなかに「青豆」「淳吾」という語句を見ると、豆しばと青木淳吾が浮かんで、笑うしかなくなってしまうのです。あとファッション・洋服の描写はもう渡辺淳一ばりにひどいと思います。

まあ1Q84に関しては、そんな文句を垂れつつもすごく面白かった。自分が抱いていた過去の印象には間違いがあることもわかったし。そんなわけで村上春樹のインタビュー集500P超えのボリュームを読んで、村上春樹のことをもっと理解しなければと思うのです。