「ゴッドスター」古川日出男

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村ランキング参加中です


古川日出男の小説は音楽のようだと言われることが多い。僕もそう思う。独特の文体は「、」「。」「改行」の枠組みを駆使して作り上げた工芸品のようだ。

今回は「、」がない。「改行」と「。」時々「?」。大粒の雨粒みたいに「。」が紙面に降り注いでいる。地面に当たって弾けてもいる。

一応ストーリーはあるのだが、話の筋だけを追っていくと後悔する。感じるままに読み進めていくのがいいと思う。僕は読み方を失敗したから都合三回読んだ。三回目なんてもう、お気に入りのCDを聴いてるかのような読書体験だった。

登場人物たちが何かを「発見」した時の描写がずば抜けて素晴らしい。エレクトロニカの音楽みたいに細部まできっちりと構築されている密度。だからだろうか、弛緩した文章が少ないから詩情はあまり感じられない。

にしてもさすがだ。ある種の実験小説ではあるけれど、こんな風に書きたいと思うプロの小説家は結構いるんじゃないだろうか?


BGMはこの削ぎ落とされた文体と疾走感にちなんでPHOENIXなんてどうだろう?

Phoenix - Rome