「うみべの女の子」浅野いにお


まずエロい。中学卒業したばかりの男女がSEXばかりしている。自分の中に芽生えた感情を上手く言葉にできず、また言葉以外でも表現することもできず、混乱なのかそうでないのかわからないまま二人はSEXをする。海辺の街で、好きでもないのに、あれを見せてと女の子がフラットな表情で言う。第一巻なのにヤバイ匂いがプンプンしてる。

おやすみプンプンでは登場人物達の葛藤がセリフで表現されている割合が高かった。プンプンのモノローグの量も多い。みんなが悩んで途方に暮れて。でも誰かにそれを伝えていた、言葉で直接。そこから新しく物語が展開するということもあった。だから重い。自分も同じような出口なしの悩みを持ったことがあれば、共感度合いが以上に高くなる。自分の問題を解決するかのごとく、登場人物たちにツッコミを入れながら読んだ。

しかし今作は違うのだ、男の子も女の子も気持ちをダイレクトに伝えない、いや伝えられない。関係性が安定していない二人がメインだからそうなのか。女の子はわけのわからないことを口走ったりする。それはこういうことか?と男の子が言い換えるのだがわかんないという。二人で混乱したまま物語は進んでいくのだが、男の子側に狂気の片鱗が見え隠れする。通信販売で買った性具を使う一コマや、自分の気に入らないことをされて女の子の口を片手で掴んで、女の子が泣いているのに強烈なことを言うページなどに。

勝手な見たてだけど、浅野いにおは今作で、先をなるべく考えず、キャラクターの造形にも余白を残したままどこまでいけるかを試しているのではないだろうか。完全にではないがコントロールすることを放棄する方向へ。実際には難しいだろうが、少なくとも気持ちの上では。もう何度も読み返しているが、何度読んでも不気味な物語である。だからこそ先が気になるのだけど。あと少しだけ、古屋実のヒミズを思い出しました。

今朝もう一度読み返していたときに、マニックスの曲がずっと鳴っていたのです。
http://www.youtube.com/watch?v=-ldINetLTaA&feature=youtube_gdata_player

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