「パリ季期」猫沢エミ


図書館のいいところはお金がかからないということ。だから少しだけ興味はあるんだけど、お金出して失敗したら嫌だな、と思う本を借りるようにしている。今日借りたのは3冊+CD4枚。

そして借りた本は見事に、というか予想以上に良く、フランス案内でわくわくしながら哲学者の恨みつらみを横目にロボット工学者の対談を読む、という具合。

猫沢エミのフランス・パリ生活記。ミュージシャンだった彼女が30歳を期にパリに移住する、その顛末をリアルに綴ったエッセイだ。

よくあるオシャレなおフランス案内とは違う。アパートの探し方から語学学校の選び方、お金の使い方、食に対しての認識の違い、そしてバカンスの過ごし方などトピックは似ているが、フランス語が話せない状態で日本から一人で、そして猫まで連れてきたのだから、余裕のあるパリ案内になるはずがない。失敗談や悔しい思いをしたことなど臨場感たっぷりだ。キラキラしたパリの表面だけではなく、民族性の違いから苦労した話もさらりと書かれていて役に立つ。実際に生活していいところも悪いところもあるけど、それでもパリはステキだという発見を、彼女の3歩後ろからカメラで追っているような、そんな気分。

本書は3つのパートからなっている。

第一章 私のこと
第二章 フランスのこと・パリのこと
第三章 猫沢的パリ案内
その他ちょっとしたおまけ(お土産の写真とか)

この構成がとても良い。まず自分の事を語り、なぜ来たのか、どうやって手順を踏んだのか、などが比較的詳細に書かれている。

そして第二章、実際に住んでどうか、何を感じた?どこが違う?などをたくさんのエピソードとともに簡潔に記す。この章はボリュームも多く、そのフランス人の考え方に驚くとともに、便利な日本でぬくぬくと生きてきた自分の生き方を問い直しながら読んだ。特にお金・恋愛・食に対しての記述で。まあ生きるのに必要な優先順位の高い項目だから当たり前か。

そして第三章は、蚤の市や映画館、カフェ、ピクニックなどについて。スタバができて喜ぶところは日本人らしいけどそれにも理由があるのです。

前菜から食後のお酒まで、フレンチのフルコースをすごくスムーズに、でも相手との会話は楽しく弾み、3時間きっちりと堪能したような読書でした。

さあ、複雑にきらめくパリの街へようこそ!

【今日の一曲】
やっぱりご本人の歌で。今はもっとナチュラル、オーガニックな感じになってると予想。(あまりよく知らない・・・)
http://www.youtube.com/watch?v=roMY-GTX7rk&feature=youtube_gdata_player

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