「鹿島茂の書評大全 洋物篇」鹿島茂


読んでない本がくさるほど家にあるのに、なぜまた新しい本を開きたくなるのだろう?ただ所有欲を満たすだけばら他のアイテムでもいいだろうに。

しかし本は本以外の代替がきかないのだ。ある本が気に入らなかった、買ったはいいけど今は気分じゃなかった、だからまた新しい本が読みたく、欲しくなる。

チョコレートとかじゃダメなのか、そうすれば安く済むのに。音楽や映画のほうがもっと我慢できる。しかも読書は時間がかかるにもかかわらずだ。それともこの時間コストのかかる読書を永遠に繰り返しそのまま死んでしまいたいということか。

鹿島茂。この博覧強記なエロオヤジ(もちろん褒め言葉)のフランスにまつわる文庫(中公文庫のあれこれ、表紙もかわいくて所有欲をくすぐるのです)や古書、エロスにまつわるエッセイなどから様々な恩恵を受けてきた。下世話な事を品良く書くのがとってもお上手なのだ。

今回は時間潰しに借りてきたこの本をパラパラめくっていたけど、知らぬ間に夢中になってしまって、本書で紹介されていた本で気になったものをリアルタイムで図書館のネット予約をする始末。そうしてまた家にある本はそのままに、埃がたまっていくのだろう。

ヨーロッパ文化史、性愛、伝記、歴史・社会、各国文化論・各国語、古典、文芸史・文芸批評、現代小説、西洋美術、最後に鹿島茂が選ぶ「この三冊」年間編、とかなりわかりやすくも細かい区分けがありがたい。

僕が特に興味あるのは、性愛、現代小説だったけど、むしろ興味が薄い他のセクションで紹介されている本のほうが魅力的に映りました。全部で100冊の本が紹介されています。

一冊に対して2〜3ページで紹介されているのですが、鹿島茂がストーリーの要約とエッセンスの抽出がすごく上手いので、この3ページを読んだだけで満足してしまう紹介も多数ありました。

字数が少なめの書評だと、大雑把にその本の手触りやイメージやキャッチコピーを提出するか、引用した文章に独自の解釈や解説を加えてその本を魅力的に見せるか、のどちらかもしくは両方ミックスだと思いますが、僕の場合は引用された文章が引っかかればすぐに読みたくなる傾向にありました。

それは未読でも一度目を通したものでも同じように感じました。本書からもたくさんの引用をメモしたりTwitterに投稿したりしてましたが、結構反応がありましたね。解説がなくても、これぞと思うフレーズはやはり伝わるので、例えば音楽の視聴のように(例え30秒であっても)魅力的なセンテンスを紹介してくれるのは嬉しいです。

今回は洋物篇だったのですが、和物篇も出ているのでこちらにもチャレンジしてみたいと思います。

【今日の一曲】
本書で紹介されていた本の中から、早速取り寄せたこちら(「恋(フラート)」の世紀―男と女のタブーの変遷)にならってフラートな歌を。
http://www.youtube.com/watch?v=GSRTdAs8Nyk&feature=youtube_gdata_player

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