「鍵盤の上のU.S.A」南博


南博続きである。ようやく図書館から本も借りてきて、こちらも一息に読んでしまった。今はダウンロードした彼のトリオを聴きながらこれを書いている。

第二弾の本書をすっとばして第三弾を読んでしまったが別に影響はなく、独立して読むことができた。今回も面白すぎた。

銀座のクラブでジャズピアノを弾いていた南青年がアメリカの名門音楽学校のバークレーで過ごした3年間を綴った物語。慣れない英語、人種の壁、とってつけたような笑顔、そしてバークレーで出会ったすばらしくもクレイジーなミュージシャン達とのセッション。あこがれの地でジャズをやることの喜びが全面に出ていて、その嬉しさに感化される。と同時に襲いかかる様々なトラブルに、おいおい付き合いきれないぜ、と独り言ちながら読み進めていくのはとても楽しかった。

その見た目からは想像できないけれど、彼の行動力がとにかくすごい。ボストンの学校にいく前に経由するニューヨークを少し見たいからと、日本で知り合った友達のまたその友達に電話をし、実家に何日か泊めてくれと約束し実際に泊めてもらったり、あこがれのピアニストをライブで見て、どうしてもピアノを教えてくれと毎週電話し、受け入れられないのでそれを半年近く続けたり。これは絶対やるのだと思ったことは、実現するまで行動を続けるのがすごい。そして彼の場合(文章から伝わる限りでは)それを飄々と、軽くやり続けているように映るのだ。眉間にしわ寄せてコノヤローこんちくしょうではなく。

学校内でのアバンチュールや、ヨーロッパから来たクレイジーなおっさんとのギグの下りはもう最高で、ミュージシャンの生態が見え隠れしながらも人間そのものがばっちり描かれている。さらには時々綴られる感傷的な短い文章も人柄がにじみ出ていて好感を持ってしまう。

もっとたくさん書いてほしい。第三弾に書いてあるように、日本に戻ってからもいろんなことがあったが、今この瞬間にも彼の日常は激動しているのだと思うと、その一挙手一投足を追ってみたくなるのだ。

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