夜になっても遊び続けろ・1



ホームを勢いよく飛び出したら左に折れて、ビル風がビューんと凪ってくるのを軽くかわしてデパートに飛び込む。ガツガツとエスカレーターを人力で2倍速、6Fの本屋にシュッターン!!と着地。頼みのiPhoneを右手に構えて路地から路地へ、通路はあますとこなくナメクジの揺れ具合で目だけギラギラ。20冊ほどのメモをとりまたゴンゴンと人力で下る。地下イチのパブに行くのか俺?いや待て20分後にはビールだぜ。BGMは<月が昇ってから月が落ちるまで君のことを考えてる、それは決して悪いことじゃないだろう>。アイアムオーケー。

タバコを吸いながら観覧車が回るのを眺める。眺めて吸って、トロンボーンが床に落ちた、らしい、耳からはそう聞こえる。太腿にメールが届く。じゅーごふんおくれちゃうわねー。おうおうおうおう。構内の本屋でファッション紙のカラフルデブのモデルに苦笑する。おっさん猫背すぎるぜ。

すーいませんでした、このまえは、ほんとうにあたしおぼえてなくってぇ、すごぉくはんせいしてます、ごめんなさいっ。でね、ころんだみたいでぇ、とちゅうまではなんとかなんとかなんだけど、「怪我なかった?」。ううん、おーっきぃあざができてたのっ!!ふふっ。

球体関節人形の足取りで彼女は歩き、転びそう。45度後ろから身体の輪郭その余白部分だけ触れ合う距離をキープしつつ、揚げ物と酒の臭いが混じった風に撫でられてはらりの髪を眼のシャッターがバシバシ切っていく。漆黒の束はプロフッショナルの曲芸師だ。フィルムを何度も交換して、美、記憶。BGMが頭蓋の内部にエコー。<うす暗闇の中、影が踊っているよ。そうさこのバスは破滅行きのやつ。運転手がいない!!>

しゃんそんがきけるおみせがあるんだよっ。「おっ?チャージ払って歌聞けるの?」。しーらないっ。「・・・」。だっていっかいしかはいったことないのー、いついってもあいてないんだもーん。「何時からやってるのそこ?」。しーらないっ。「・・・電話してみようか?」。えーっとえーっとなまえなんだっけ、へへっ。「・・・」。どれだけ追いかけても月は逃げるだけか。<このイカレタ世界で俺はあの子にキスをしないだろう>。音楽は歌うタイミングを良く知っている。


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