「SCATTER」新井英樹

発売はだいぶ前の漫画だけれども、そのインパクト・テーマ・作家性・画風のどれもが完璧に心を直撃し、射抜く。読み返す度に自分の存在まるごとを持っていかれる。噴き出す血、垂れ流す体液、シゴいて突っ込んでブチまける。抑えきれない欲望が独立した生命となって本人の周りを旋回してる。そんな連中ばかりが登場人物だ。ジョルジュバタイユ眼球譚」や村上龍「エクスタシー」を真っ先に思い出し、園子温奇妙なサーカス」「愛のむきだし」もフラッシュバック。固有名詞で逃げるのは卑怯だと思ったが、ああだこうだと断片を切り取って感想を書き連ねたってしょうがないと思うのだ。読むこちら側も総力戦で挑まなければならない。さすが「キーチ」「RIN」「愛しのアイリーン」「宮本から君へ」「ザ・ワールド・イズ・マイン」など、徹底的に激しい、メーター振り切った作品ばかりを描いてきた新井英樹だ。今作のテーマの率直さには驚いたが、まだ二巻で既に大傑作の予感がある。シングルマザーの編集者である沢田とファビアナ拓の出会いに。既に登場している変態たちの饗宴に。究極の恋愛ドラマが始まろうとしてるのだ。「俺をしぼりとれ!」そんな声がどこからともなく聞こえてくるようだ。

もし映画になるならエンディングテーマは小谷美紗子「春遅し」でどうだろうか。もちろん監督は園子温で。とんでもない作品に出会うと妄想ばかりが膨らんでこまるのだ。よし、飲みにいこう。

http://www.youtube.com/watch?v=I4RwLKdN9Pg&feature=youtube_gdata_player

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