詩の練習蝶

詩の練習蝶9「ISDEAD」

【ISDEAD】ピリオドは打つ前にト音記号のレールに滑らせた。肩肘張った男が死の直前に歌う。男のスケールはブローチ程度、何度も針がためらう。ボム!!全ての若き野郎どもよ、水晶の壺を満たした老人の、持て余した人生のフィギュアを砂漠に埋めてやれ。ボ…

詩の練習蝶8「デイジー」

【デイジー】 かつての心が生まれ変わろうとする明日を邪魔しながら花の雷鳴に撃たれて裂けて髪が抜けていく。抜ける前に白くなるのは、生気を水に流されたから。「グッドラックよりショットガンが欲しい」わ、ね?ただ待つだけで全てがあらわになるのかしら…

詩の練習蝶7「サークル」

【サークル】 ここにまた 風が吹くから忘れずに 濡れた気持ちを干しに来ること。乾いたら きれいにたたんでのりをして 好きな誰かに使ってもらおう。そしてまた 好きな人から受け取って 干してたたんでまた手渡して。影つけて 踏んで踏まれて重なって 夕日の…

詩の練習蝶6「ティータイム」

【ティータイム】 傘を勢いよく開いたら 不幸が降ってきた。 内側では 四人の男が十字架にぶら下がり 布地の裏側からは 飛び出さない。一方通行の紙ナプキンをわざと 足下に落とす。だって歩けなかったら電車にも乗れないのよ。 擦り傷とか切り傷があちこち…

詩の練習蝶5「ACHING」

【ACHING】夏に揺れている 大切でないほうの心は 胸にしまっておくことはできないよ。体は率先して、その 灼熱の太陽を抱きかかえ 見知らぬ人に強制的に走らされ 捕まえてはまさぐり 了解を得ては吸いつくし 怯えたところで突き放す。満足を知らない面影が …

詩の練習蝶4「NON。」

【NON。】ロックンロールを前のめりで身にまとい 今日も世界に唾を吐くために君は ブーツの紐を固く縛る。あたしの髪の毛に触らないで。 真後ろに立つなら気の利いた言葉を美しく歩かせなさい。 震えてなんかいない、挫折の野次馬を追い払ってるだけよ。 違…

詩の練習蝶3「SUITCASE」

【SUITCASE】負けグセのついたスカートを脱ぎ捨てた。 駆け足で階段を登り 空にぐんと近づいて 星座はスポットライトなの。ハッピーを見送りすぎていた。 隙間から覗いているだけだった。 時計の針は安定しない脈。 そのたびに強く生きなくちゃ。 頭ではわか…

詩の練習蝶2「SHOT」

【SHOT】曲がりくねった足跡をつけながら 転がる石は 光の差すほうへ。蜂起する日常が 立ち入り禁止の 幼いわたしをまもってくれた。いつかもう一度 心の他人を飼いなおす。 割れた蹄の間にナイフを刺し 再生する肌の質感を溜めていく。生の捕食 性の補色 行…

詩の練習蝶1「アフターアワーズ」

【アフターアワーズ】塩の入った小瓶を やみくもに投げつけて 海を作った。 そこに君を泳がせて もう一度小瓶に閉じ込める。 料理をするたびに 君の眼差しがスパイスになって 美しい食卓だ。 空になった皿からは 君の香りがするから お願いがあるんだ。続き…